ここ数年、富士山を目指す外国人が増えている印象がある。
環境省が行った平成27年度「富士山における外国人登山者動向把握業務調査結果」が公表された。富士山を目指す外国人が感覚的には増えているということを、この調査結果が裏付けている。早速データを見てみよう。
富士山の山小屋に対するアンケートにおいて、72%の山小屋が「外国人客数が増えた」と回答している。
下山者の外国人比率をルート別に見てみよう。ここでも外国人が増えていることがよく分かる。
- 吉田口ルートの平日28%、土日21%が外国人
- 富士宮ルートの平日10%、土日11%が外国人
次に国別に見てみよう。
1位 台湾、2位 アメリカ、3位 中国、4位 フランス、5位 韓国、6位 ドイツ、7位 香港、8位 イギリス、9位 オーストラリア、10位 インドとなる。
国籍のエリア別にみると、欧米が4割、東アジア4割となる模様。
なぜ富士山を目指す外国人が増えたのか?
なぜ富士山を目指す外国人が増えている理由を考えてみます。
- アクセスが良い
- 登山が容易
- 富士山の全容を様々な角度から見れる
- 下山後の温泉
1. アクセスが良い
1つ目の理由は、東京と大阪、京都を結ぶ定番の観光ルート、いわゆる「ゴールデンルート」にありアクセスが良い。
秋葉原、渋谷、浅草で観光して翌日は富士山に移動。山小屋に宿泊、ご来光を見て下山。温泉につかってもう1泊する。翌日は新幹線で関西方面に移動。関西方面からはこの逆のコースを辿る。
日本の文化が凝縮されるゴールデンルートに富士登山がプラスされる外国人の完璧な周遊コースだ。
登山シーズン中は、東京から富士山五合目行きのバスが運行されている。
関西方面からは新幹線三島駅で河口湖行きのバスに乗り換える。なお、特急 三島・河口湖ライナー(バス)は、三島駅を停車する「ひかり」と接続されていて便利だ。
2. 登山が容易
2つ目の理由は、「世界で有名な十山」に富士山は入っていて、他の山は低くても4700mあるなか、富士山は3776mで登山が容易。
3 富士山の全容を様々な角度から見れる
3つ目の理由は、海抜ゼロmから富士山頂3776mまで直線距離で約27kmしかなく富士山の全容をいろいろな角度から一度に見られる。そして、「世界で有名な十山」の富士山以外の山はベースとなるところがすでに数千メートルの高地にあり標高の高さはあまり実感できないようだ。
4 下山後の温泉
3つ目の理由は、外国人の温泉好きにも通じることだが、富士山に登ってきたということが外国人にとってのステータスではないのだろうか。海外でも寿司をはじめ和食がかなりもてはやされているようだが、そこで箸を使って食べるということがステータスと同じように。温泉も同じで、富士山に登った後、「温泉」に行ってきたというのがステータスになるのではないだろうか。とは言うものの、下山後の温泉の気持ちよさは万国共通で誰でも気持ちいいいものだと思う。
富士山を登頂する外国人の満足度は高い
先の環境省の調査結果で、ちょっと意外だったのは外国人に対する「富士登山全体の満足度」というアンケート項目があり、「日の出を見た外国人登山者」の93%が「満足」「日の出を見ていない外国人登山者」でも81%が「満足」という、8割以上の外国人登山者が満足しているという。8割以上が「満足」という数字はたいへんなことで富士登山に関わる人々の努力の結果だと思う。
なぜ外国人の満足度が高いのか?
登山をサポートする設備、山小屋、救護施設、トイレ、などが充実している。
富士山以外の「世界で有名な十山」を登るにはそれなりの装備、覚悟、体力が必要だが比較的に楽に登れる富士山でもご来光や独立峰ゆえの景観など素晴らしい自然を手軽に実感できる。
まとめ
さらに富士山を目指す外国人が増える伸びしろはあると思うが、日本人登山者も含めて富士山を目指すひとが増えると言うことは、富士山のオーバーユースにもつながる。失われた自然は元に戻らない、と言うことを考えながら、富士山を取り巻く人々が皆ハッピーになれることを願うばかりだ。